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「最期まで一人で暮らしたかったおじいちゃん」

先日にカンファレンスでひとり暮らしの患者さんのケアについて話が出たのですが、
ふと、身寄りのない男性の患者さんのことを思い出しました。

その方は10年くらい前からある程度の予後のある癌の診断を受けられて、ホルモンの治療を受けていらっしゃいました。
徐々に病状は進んで、全身に転移が見られて病院の外来から紹介を受けました。
自宅でひとり暮らしなのですが危うい足取りで、家事もほとんど全くされないので、第三者から見たら誰もが施設を薦めたくなるような生活でした。
季節も真冬なので、凍えるような部屋の中で灯油ストーブの近くだけがぽたぽたと暖かいです。

ケアマネも誰も介入していないので、とりあえず近くの訪問看護ステーションにお願いして、その後にケアマネさんとデイサービスを探します。
処方されている薬も全く内服されていないので、とりあえずなんとかします。
こういう場合は看護小規模多機能がうまくいくことも多いので、訪問看護とショートステイの組み合わせでなんとかしてくださいました。
ご本人がマイペースだけれども穏やかな方で、医療者に感謝の言葉をかけて下さることが何よりも助かりました。

雪が解けて春になって、とりあえずひと段落できました。
週末はショートステイでお風呂に入らせてもらって、平日は看護師さんとヘルパーさんが交互に来てくださいます。
ご本人もマイペースですがやっぱり穏やかな様子で、とりあえず良かったなーとみんなが感じています。

桜が咲いて、タンポポが見えて、ラベンダーも咲いて、季節が少しずつ移ろって、心地よい季節も過ごせました。
ひまわりが咲く7月になると一気にうだるような暑さがやってきました。
ただでさえ風も吹かず空調の利かないアパートのお部屋の中なので、

食欲もなくなり、脱水になり、癌の病状も進み、毎日に点滴をすることにしましたが、
身体はベッドから起き上がれないくらい辛くなっていました。
真夏には排泄もおむつ、飲み込みも弱くなってしまい、身体を動かすと全身も痛い。
お盆を過ぎた頃にはモルヒネの注射も用意しなければならなくなりました。

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