緩和ケアは終末期だけのものではありません
緩和ケアという言葉から、最期の時期の医療を思い浮かべる方は少なくありません。しかし現在の考え方では、緩和ケアは病気が見つかった早い段階から、治療と並行して受けられるものとされています。痛みやだるさ、息苦しさ、食欲の低下といった身体のつらさ、そして不安や気持ちの落ち込みをやわらげ、その方らしい生活を続けられるようにすることが目的です。
対象もがんに限りません。心不全や呼吸器の病気、神経難病など、経過の中でつらさを伴う疾患であれば緩和ケアの考え方が役に立ちます。
つらさを我慢しないで済むように
痛みは、我慢しても良いことはほとんどありません。眠れない、食べられない、動けないといった形で生活全体に影響し、体力の低下にもつながります。私たちは、痛みの強さや出方、どんなときに強くなるかを丁寧に伺い、内服薬や貼付薬、必要に応じて医療用麻薬(オピオイド)やポンプを用いた持続投与などを組み合わせて調整していきます。
医療用麻薬について「中毒になるのでは」「使い始めると先が短いのでは」というご心配を伺うことがあります。医師の管理のもとで痛みに対して適切に使う場合、そうした心配は当てはまりません。ご不安な点は遠慮なくお尋ねください。
痛み以外にも、吐き気、便秘、むくみ、息苦しさ、不眠など、生活を妨げる症状はさまざまです。どれも相談していただいて構いません。
ご本人の希望を伺うことから始めます
何を大切にしたいかは人によって違います。少しでも長く過ごしたい方もいれば、眠くならずに家族と話せる時間を優先したい方もいます。行きたい場所がある、会っておきたい人がいる、といったご希望が治療の方針に関わることもあります。
私たちは、医学的にできることをお伝えしたうえで、ご本人とご家族がどうしたいかを一緒に考える時間を大切にしています。一度決めたことを、途中で変えていただいても構いません。
ご家族も支えの対象です
在宅での療養は、ご家族の不安や疲れを伴います。「これでよいのだろうか」「急に容体が変わったらどうすればよいのか」という迷いは自然なものです。起こりうる変化とそのときの対応をあらかじめお伝えし、緊急時には24時間365日ご連絡いただける体制をとっています。
介護の負担が大きくなってきたときには、訪問看護やヘルパー、レスパイト入院など、負担を分散する選択肢をケアマネージャーと一緒に検討します。
在宅での看取りについて
自宅で最期まで過ごしたいというご希望があれば、そのための備えを一緒に整えていきます。一方で、途中で入院を選ぶことも、迷いながら決めることも、間違いではありません。方針はいつでも見直せます。
在宅での看取りを希望される場合、どのような経過をたどるか、そのときに何をすればよいか、どこへ連絡すればよいかを事前にご説明します。慌てずに済むよう準備しておくことが、ご家族の負担を大きく減らします。
チームで関わります
在宅の緩和ケアは、医師だけで支えられるものではありません。訪問看護師が日々の症状を確認し、薬局が薬の管理を担い、ケアマネージャーが生活を組み立てます。病院で治療を受けていた方は、その主治医とも連絡を取りながら進めます。関わる職種の間で情報を共有し、同じ方針で関われるようにすることを重視しています。
緩和ケアを受けるべきか迷っている段階でも構いません。今つらいことがあれば、まずはお聞かせください。